うつ病は「迷惑」?悩める当事者と周囲の人に伝えたいことー早期発見と適切な治療のために

うつ病という病の存在自体は、近年、日本でも社会的に広く知られるようになってきました。

しかし一方で、うつ病に悩む当事者は「周りに迷惑をかけたくない」といった気持ちから、周りに打ち明けづらい日々を過ごすことが少なくないようです。

悩みは当事者だけにとどまりません。

職場にいる周りの人もまた、うつ病の方を前にした時にいかに接するべきか、様々な悩みを抱えています。

この記事では、主にうつ病に苦しむ当事者と、うつ病の方と同じ職場等で働く周りの人達が、うつ病に対してそれぞれどの様に関わっていくことができるのかを考えていきます。

1. うつ病とは

うつ病は、おもに精神や肉体へのストレス負荷によって脳の機能に障害が生じ、感情や気分のコントロールに支障が出てしまう病気です。

日本人のうつ病の生涯有病率は約7.5%、おおよそ10〜15人に1人が一生のうちに一度はかかる病気と言われており、今日では誰もがかかる可能性のある、けっして珍しくはない病気なのです(注1)。

うつ病の症状は、人によって様々です。

一般的にイメージされる気分の落ち込みや無気力感、反対にイライラしてしまうといった感情面に現れる症状は、まさにうつ病の代表的な特徴です。

しかし一方で、感情面ばかりが着目されてしまうために「脳の機能の障害である」という本質的な成り立ちへの理解は、あまりなされていないことも多いようです。

脳機能の障害ゆえに、実際は感情面だけでなく、不眠や過眠、集中力の欠如、身体機能の低下といった症状も発生します。

うつ病の方が職場などで悩まされる事例として、

「注意散漫になり、文字を読んだり簡単な作業をするだけでもケアレスミスが増える」
「他人との簡単な会話ですら理解しづらかったり、自分自身の考えを上手にまとめることができず判断力が低下する」

といったケースがよく見られます。

こうした症状もあいまって、うつ病のご本人ですらその原因が分からぬ間に仕事に支障をきたすようになり、「周りに迷惑をかけている」という自責の念が強くなっていくようです。

そして周りにいる人達もまた、そうした事態の原因が分からぬまま「仕事でよくミスをする人」という認識だけが強まってしまうことがあるようです。

2.「うつ病で周りに迷惑をかけたくない…」と悩むご本人へ

何かの病気やアクシデントに見舞われた時、周りの人への影響を気にする方は多いでしょう。

うつ病という病気は、とりわけ真面目な人や責任感の強い人ほどなりやすいと言われています(注2)。

そのため、症状が酷くなると、「周りに迷惑をかけたくない」という思いがかえって強くなり、周囲に隠して我慢を続けてしまう方が多い病気です。

しかし、うつ病からの回復には、早期の発見と対応、そして適切なサポートを受けることが重要となります。そのため、まずは周りに打ち明けることが何よりも大切なスタートとなってきます。

むしろ病状を隠して無理を続けてしまっては、結果として回復にかかる時間が長くなってしまいます。

心の不調を他人に明かすことに、最初のうちは抵抗があるかもしれません。

ですが、一人で抱え込んでいても、つらさと孤独は増すばかりです。

うつ病を誰かに相談し、適切な対応とサポートを得る(そして、時にはしっかりと休息期間を取る)というあなたの決断は、周りの人達にとって何ら迷惑なものではありません。

3. 「うつ病って正直、迷惑…」と、ついつい感じてしまう周囲の方達へ

うつ病の方が職場や学校にいる時、周りの人もまた悩みを抱えています。

初めてうつ病の方を前にしたとき、多くの方がどう接したら良いのか分からないまま、腫れ物にさわるようなぎこちない接し方をしてしまいます。

そして、実際に仕事の穴を埋めたり、懸命にサポートを行っているうちに、使ってはいけない言葉と思いながらも「迷惑」「押し付けられている」といった感情を抱いてしまうこともあります。

病気で苦しんでいる人を前にそうした感情を抱いてしまうことに自責の念を感じて、感情の板挟みになり苦しんでいる方はとても多いのです。

こうした状況において大切な視点を2つお伝えします。

うつ病の症状に詳しくなり、苦しんでいる人の早期発見・支援に協力する

うつ病が他の病気と異なるのは、本人がそれに気付いていなかったり、自覚していたとしても、他人に打ち明けたり頼ったりすることがはばかられる点にあります。

「最近仕事に支障をきたしてばかりのあの人、正直ちょっと迷惑だなぁ……」そう感じた時こそ、少し視点を変えてみましょう。

もしかしたらあなたは、その方の異変に気付いてあげられた最初の一人かもしれません。

その方は自分の症状に気付けているでしょうか?周りに相談できているでしょうか?無理して復職を急いではいないでしょうか?

誰かの不調のサインに気づいたら、声をかけたり話を聴いてみたりしてみてください。

もちろん、あなたが一人だけでその人のサポートを抱え込む必要はありません。

あなた自身の心身の安全も大切に、人事や産業保健スタッフと連携してサポートをすることを意識してください。

あなた自身に症状が現れていないかにも注意を向けてみる

うつ病は、何らかの外部要因(主に精神や身体へのストレスなど)によって引き起こされる病気であり、決してうつ病の人自身に原因があるものではありません。

したがって、あなたの身近な誰かがうつ病になった時、あなた自身もまた「うつ病を引き起こす可能性(ストレス要因)」に身を晒しているかもしれません。

こうした「自分の身にも起こりうる可能性」を意識することは、一般的な病気の予防と考えれば当たり前のように感じますが、実態をイメージしづらい精神疾患となるとなかなか難しいのです。

うつ病の特徴に詳しくなることで、うつ病の方だけなく、自分自身の不調に気づきやすくなったり、休養や相談、受診といったアクションを取りやすくなることも期待できます。

4. 職場の同僚がうつ病に。「周りの人」に出来ることは?

職場でうつ病の傾向が見られる人、あるいは、うつ病による休職から復帰したものの、まだ調子が悪そうな人がいれば、まずは話しかけてみましょう。

ただしその際、決してむやみに励ましたり、注意したりしてはいけません。

あくまで「声かけをする」にとどめることが肝要です。

あなた自身が、その方が誰かに相談することの「きっかけ」になってあげましょう。

あなたが職場にいる同僚や上司の方であれば、以下のような手順で接してみてはいかがでしょうか。

①:心配していることを伝え、話を聞く

まずは心配しているという思いを伝え、声をかけてみましょう。

あなたの職場での立場や、その人との関係性よりも、「気にかけてくれる人が目の前にいる」ということの方が、その人にとっては心強く、また相談をしやすくしてくれるでしょう。

②:本人が自分の状態について、どのように考えているか確認する

その方は、自分の状態をどのように認識しているでしょうか?日々どのようなことを感じていて、いま何を解決したいと思っているのでしょうか?

まずは本人の気持ちや考えを聞いてみましょう。

どれほど心からの心配や適切なアドバイスであっても、本人の思いを無視してしまっては、ただの押しつけになってしまいます。

③:専門機関の活用を勧める

うつ病は治る病気です。

しかし病気である以上、最終的に適切な治療を施せるのは、その道のプロ以外にありません。

病院やメンタルクリニックといった専門機関を受診し、正しい指示を仰ぐようにアドバイスしてあげましょう。

そして、あなたは自身はあくまで「治療を見守る協力者である」という線引きをきちんと持つことが大切です。

5. つらいときこそ「誰かを頼る」勇気を

うつ病が引き起こす影響は、職場という環境に限ってみても随分と多岐にわたります。

そのためご本人も周りの人も、病気としての実態にきちんと迫れないまま気疲れを起こしたり、無理に頑張ったりしすぎてしまうことが多いようです。

「迷惑をかけてしまっている」この言葉が思い浮かんだ時こそ、まずは自分の抱えている状況を誰かに打ち明けたり相談したりしましょう。

誰かを頼るという勇気は、決して周りの人に迷惑をかけるものではありません。大切な第一歩です。

また、うつ病に苦しんでいる人が身近な職場にいることに気づいた時には、その方が悩みを打ち明け、正しいサポートを受けるための「きっかけづくり」が出来ないか考えてみましょう。

参考文献

注1)厚生労働省, 2018年, 「平成30年版厚生労働白書(障害や病気などと向き合い全ての人が活躍できる社会に)」, 保険統計室・患者調査, こころの病気の患者数の状況, pp.96

注2)伊藤 拓・竹中 晃二・他, 2005, 「抑うつの心理的要因の共通要素(完全主義, 執着性格, 非機能的態度とうつ状態の関連性におけるネガティブな反すうの位置づけ)」, 教育心理学研究53巻2号, pp.162-171

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