うつ病になったら、仕事は休む?続ける?自分らしい働き方に向かうステップと相談先
「調子が悪くて仕事に集中できない。もしかして、うつ病?」
「うつ病の診断を受けたけど、仕事を辞めるとお金が心配…」
この記事では「うつ病」と「仕事」にまつわるお悩みを抱えている方に向けて、仕事の継続・休職・復職といった具体的な選択肢と考え方、相談先や、利用できる支援制度などをご紹介します。
まだ診断を受けていない方、既に診断を受け、仕事をどうするか悩んでいる方、休職・治療を経てこれからのことを考えている方など、それぞれのご状況に合った情報を参考にしていただければ幸いです。
※この記事は東京都内で訪問型メンタルケアサービスを展開する「コモレビ」が執筆しています。
コモレビは、精神科看護師や精神保健福祉士などの国家資格を持つスタッフが、当事者の方のご自宅を訪問しておこなうメンタルケアサービスです。1回約40分。対話や相談を通して日々のさまざまな悩みや不安に向き合い、一緒に解決を目指すことができます。
現在、東京都内の一部地域にてサービスを行っています。
1.「うつかもしれない」と感じたときのセルフチェック&相談先
まだ病院にかかっておらず、診断は受けていないけれど、仕事を続けるなかで心身の不調を感じているという方は、以下のストレスチェックなどを参考にしながら、職場や医療機関に相談してみてください。
厚生労働省 心の耳「5分でできるストレスチェック」
https://kokoro.mhlw.go.jp/check/
うつ病は早期の治療や休養が大切な病気です。調子が悪いと思ったら、なるべく早くお医者さんに相談しましょう。
ご自宅や職場から通いやすい距離で、
- 精神科
- 心療内科
- メンタルクリニック
といった名称を掲げているクリニックを探してみてください。
うつ病の症状や治療方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
また、50人以上の労働者がいる会社には産業医が配置されています。不調を感じている社員の健康状態を見極め、休職や復職に関する助言をするのが産業医の役割です。職場に産業医がいる場合は、面談予約をして相談に乗ってもらうといいでしょう。
以下の記事では、産業医の役割や期待できるサポート、面談時のポイントについてより詳しく解説しています。
2. うつ病と診断されたら、仕事はどうする?
医療機関にかかってうつ病と診断された場合、医師の診断書や助言を踏まえて、仕事をどうするかについて職場と相談し、対応を決める必要があります。
具体的には、
- 休職または退職をして、まずは治療に専念したのち、復職を目指す
- 勤務形態の変更や職場環境の調整によって業務負荷を下げた上で、仕事を続ける
大きく2つの選択肢を検討することになります。
うつ病の症状は人によってさまざまですが、気分の落ち込みや倦怠感、集中力の欠如など、業務の遂行に支障が出る症状が多いです。自分では「まだ働ける」「休まず仕事を続けたい」と思っていても、自覚している以上に心身が弱っており、思うようなパフォーマンスが出せなくなっていることがほとんどです。
仕事を休むにしても、続けるにしても、ご自身にとって無理がなく、望ましい選択ができるよう、主治医や産業医の客観的な助言を参考にしたり、職場と相談したりしてみてください。
3. うつ病で仕事を休むとお金が心配、という方へ
仕事を続けるのが難しいと感じていても、お金のことが心配で休職に踏み切れない、という方もおられると思います。うつ病で休職する場合も、会社が加入する健康保険の保険料を支払っている方は「傷病手当」の支給対象となり、おおよそ自分の給与の3分の2に相当する金額を受け取ることができます。
会社の人事部など、担当部署に問い合わせて、申請方法や必要書類を確認して申請してみてください。傷病手当が支給されれば、休職中も収入が途切れることがなくなるため、うつ病の治療に専念しやすくなります。
他にも、治療期間に使える様々な制度を活用すれば、治療費が安くなったり、休職中の収入減を補填できる可能性があります。以下の記事にうつ病になった方が使える可能性がある制度や、お金の節約法などをまとめていますので、あわせてご覧ください。
4. 仕事を続ける・仕事に復帰する際は、職場環境の調整を
うつ病になってからも、様々な事情から、すぐには仕事を休めない・辞められないという方や、休職を経て同じ会社に復帰するという方には、仕事を続けるための職場環境の調整が必要です。
うつ病になってから、病気になる前と全く同じ量や内容の仕事をこなすことは難しくても、自分に合った働き方を見つけることができれば、うつ病の症状を抱えながら仕事を続ける・再開することは十分に可能です。
- 時短勤務にする
- 在宅勤務に切り替える
- 部署を変える
など、勤務形態や業務内容を大きく変えることで働きやすくなることもあれば、日常のコミュニケーション方法や座席の配置の変更といった細かな調整をすることで、不安やストレスの要因を減らすことが出来る場合もあります。
主治医や産業医の意見も参考にしながら、上司や人事部に、自分の症状や希望を伝えることで、働きやすくなるように職場環境を調整してもらえる可能性があります。自分では具体的な解決策が思い浮かばないという場合も、まずは職場に「相談」してみることで、良い解決策を一緒に考えてもらえるかもしれません。
周囲の協力を得ながら、仕事を続けやすい環境をつくっていきましょう。
5. うつ病療養後の復職・転職、仕事探しのポイント
職場復帰への4ステージを参考に、自分の状態を理解する
休職・退職して療養してしばらく経つと、「調子が戻ってきたのでまた働きたい」と、復職・転職を考えている方もおられると思います。
うつ病になった方の休職から復職へプロセスは、大きく以下の4つの期間を辿っていくと考えられています。
【第一ステージ】要治療期
うつ病の治療を開始したばかりで、何もやる気が起きずに、気分の落ち込みも著しい時期です。
【第二ステージ】リハビリ期
だんだんうつ病の症状が抜け始め、意欲や憂鬱な気分が回復してきます。
【第三ステージ】職場環境調整期
睡眠や覚醒のリズムも整い、まだ気分の波もあるものの、おおむね気分良く過ごすことができる日が増えてきます。
【第四ステージ】職場復帰後、再発予防期
職場復帰を果たし、少しずつ仕事量が増加してきます。
(参考文献:『現役精神科産業医が教える「うつ」からの職場復帰のポイント第2版』 吉(土に口)野聡・宇佐見和哉 著)
リハビリ期になると少し体調が良くなってきて、それと共に「仕事をしなければ」という焦りや、休んでいることに対する罪悪感が出てくることがよくあります。安定した復職ができるのは、趣味などを楽しむ余裕が出てくる職場環境調整期以降であることが多いです。
今の自分が概ねどのステージに当たるのか、復職に向けて動き出しても大丈夫そうかなど、「働きたい」と思ったら、主治医や産業医に相談してみてください。自分の感覚だけでなく、他の人の視点も加えることで、自分の状態を客観的に把握しやすくなるはすです。
仕事をするための体力づくり
復職を目指す際には、仕事探しだけでなく、「体力づくり」も重要です。うつ病の症状そのものの影響や、休養期間を経たことによって、病気になる前より体力が落ちた、働いていた頃と生活習慣が変わってしまったということがほとんどです。
「決まった時間に寝る・起きる」「外出する時間・日数を少しずつ増やす」など、体力づくりや生活習慣の立て直しを意識しましょう。
復職に向けたリズムをつくっていくうえでは、以下のようなサービスも利用することができます。
精神科訪問看護
看護師や精神保健福祉士などの有資格者が自宅を訪問し、日々の生活の悩みごとについて相談したり、支援を受けたりすることができます。
精神科デイケア
精神障害のある人が日帰りで利用できる通所施設で、 スポーツ、創作活動、ミーティングなどさまざまなプログラムに参加できます。
就労継続支援
障害のある人が、一般企業で働くことに不安・困難な場合に、一定の支援を受けながら働くことができる事業所です。雇用契約を結ぶA型と、雇用契約を結ばないB型があります。
自分に合った仕事を探す
うつ病とその治療を経て、自分の心身の理解が深まったり、どのように生きていきたいか、どんなふうに働きたいかを改めて考えたりしたという方も多いと思います。病気になる前と後で変わったこと・変わらないことを踏まえて、「自分に合った仕事」を探していくために利用できるサービスを紹介します。
就労移行支援
障害のある人が、一般企業等への就労を目指すために利用できる通所サービスです。スキルアップのためのさまざまなプログラムが行われているほか、求人探しや応募、面接準備などのサポートも受けられます。
転職・就職サイト・ハローワーク
さまざまな企業からの求人情報が掲載されています。一般雇用だけでなく障害者雇用の求人も集まっています。いろんな条件を見比べて、自分に一番合う仕事を見つけましょう。
生活を支える障害年金
うつ病などの精神障害の場合でも、障害認定基準に該当していれば障害年金を受けられます。初診日(初めてうつ病について病院を受診した日)に厚生年金に加入しており、初診日から1年6ヶ月を過ぎた方は、障害年金の申請ができます。障害年金が支給されるかどうかや、もらえる金額は障害の程度により異なり、必ずしも全ての方が審査に通るわけではありませんが、受給することができればその分、経済的な不安も少なくなり、自分に合った仕事をじっくり探しやすくなるでしょう。
詳しい申請方法については以下のページを参考にしてください。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/shougai/seikyu/index.html
参照:日本年金機構「障害年金を請求する方の手続き」
6. うつ病の症状や経済面を踏まえて、自分に合った働き方を探していく
うつ病になったことで、思うように身体が動かず、これまで通りの仕事が続けられなくなってもどかしい思いをされている方も多いと思います。しかし、うつ病になってからの自分に合った仕事や働き方、それを実現するための味方はきっと見つかるはずです。この記事がその一助になれば幸いです。
メンタルケアサービス
「コモレビ」とは
コモレビは自宅訪問型のメンタルケアサービスです。現在、都内かつ新宿駅および練馬駅から片道30分圏内にお住まいの方を対象としております。
メンタルヘルスを専門とするスタッフが、ご利用者様の自宅に直接うかがい、お話をさせていただきます。心身の調子が悪く外出がむずかしい場合でも安心してご利用いただけます。
1回約40分。精神科経験のある看護師や、精神保健福祉士などの国家資格を持つスタッフとの対話・相談を通して、日々のさまざまな悩みや不安に向き合い、解決を目指すことができます。
サービスのご利用にあたって、まずは無料の利用面談を承っております。利用面談では、お悩みやお困りごとなどをお聞かせ頂く中で、どのような形でコモレビがお力になれるか一緒に考えていきます。
また料金体系、利用可能な地域、医療保険や各種制度の適用、その他サービスに関するご不明点や気になることがあれば、以下よりお気軽にお問い合わせください。
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